美と暮山③:美女の辞書に謙遜・自虐・相槌の文字はない?

前回までのあらすじ

多くの女性が容姿を褒められた際に謙遜する国・日本。

自身の美しさをいかに自覚していても、賞賛を受け入れた場合の代償の大きさを思い謙遜するのは大人の分別というもの。

自然とそう思い生きてきた日本生まれ日本育ちのインドア主婦・暮山。

だが中東某国に住み始めてしばらく経ったころ、その常識を目の前で覆す女性に出会う。

その女性とは圧倒的に美しい上、ネイティブと同等レベルのアメリカン・イングリッシュを話すイタリア人・アンジェラ。

彼我の圧倒的な差に引け目を感じ、当初は仲良くなれそうにないと感じていた暮山だが、予想だにしなかった反応を見せたアンジェラに興味を持ち始めるのであった。

 

(「美と暮山編」初回記事はこちら→ 美と暮山① )

(前回の記事はこちら→ 美と暮山② )

 

暮山、後から思う

今思うとアンジェラのあのときの反応は、欧米の方としてはごく一般的なものであったろうと考えます。

日本人は謙遜(ときには自虐)を日常的な態度として身につけており、人様からなにか褒めていただいたときには自然とその反応を示します。

一方、欧米では謙遜という態度はあまり一般的ではなく、人様から褒めていただいたときには素直にそれを受け入れるのが自然な反応とされるようです。

一見謙遜のように見える態度を見せることもありますが、それは謙遜ではなく、相手側の主張に対し

しかし自分はこう思う

という主張を表明しているにすぎない場合がほとんどであるように思います。

自虐的な言葉を口にすることは非常にまれですし、自虐的にふるまうことで笑いを取ろうという思考回路も存在しないように見えます。

暮山も以前から

 

欧米の人は日本人に比べて謙遜というものをしないらしい

 

ということを耳にしたことはあり、知識としては持っていたのです。

しかし実際にその様子を目にするのは初めての機会だったため、アンジェラの態度は非常に新鮮なものとして暮山の目に映ったのでした。

当然、アンジェラの反応に目を見開いていたのはその場で暮山ひとりだけ。

ソフィアにもルイーザにも気にする様子は何も見られず、ついぞ暮山と驚きや興奮を共有することはありませんでした。

 

アンジェラと暮山の会話

家が近所である上に年も比較的近かったせいもあり、意外なことにその後アンジェラと暮山は友人になることができました。

お互いの家を行き来してランチしたり、他の友人も一緒に一日中プールで過ごしたり、ソフィアの誕生日を祝ったり。

そんな中で、アンジェラはいつもニコニコしているということはなく、基本的に真顔です。

(本当に面白いと感じたときしか笑いませんが、笑いの沸点はさほど高くない様子です。)

会話中の相槌も少なめです。

対照的に暮山はよくヘラヘラと笑っている上に、相槌も多めに打つタイプの人間です。

自己分析するに、暮山は笑顔でいることで会話中に発生しうる不要な衝突や軋轢を避け、相槌によって相手に

あなたの話をきちんと聞いていますよ!

と示しているのです。

 

最初のうちはアンジェラが暮山とは対照的な態度を取ることについて、暮山はわりとよく居心地の悪さを感じておりました。

規格外に美しい人が真顔で相槌も打たずに自分の正面や隣に座っている、という状態に何やらおかしさを感じ、会話とは関係なく笑い出してしまいそうになるのです。

それから、アンジェラが暮山の下手くそな英語に疲れてしまい、話をちゃんと聞いてもらえていないのではないかと不安に思うときもありました。

 

しかし一緒にいるうちに、アンジェラがいつも真剣に暮山の話を聞いてくれていることがだんだんと分かってきました。

暮山はつい、分かったふりをしてあいまいに相槌を打ってしまうことがあります。

話の流れを止めるのに気が引けてしまい、疑問に思うことがあっても質問せずに話を流してしまったりすることも多くあります。

それに関してもアンジェラの態度は対照的です。

暮山の話すことがうまく理解できなくなってくると、その都度聞いてくれるのです。

分かったふりをしたり、疑問に思ったことを流してしまったりすることはあまりない様子です。

表面的には分かりにくいけれど、アンジェラの態度はより真剣に話を理解しようと努力してくれているように感じられて、暮山は安心して話をすることができるようになりました。

規格外に美しい人が真顔で相槌も打たずに自分の正面や隣に座っている、という状態にも慣れました。

人間、どんなことでも慣れるものですね。

 

(次の記事はこちら→ 美と暮山④ )
 

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