前回のあらすじ
運転の才能から見放された女・暮山。
そんな暮山が住むここ中東某国は車社会であり、暮山にとっては未知の領域である超高級車もよく街中で目にすることができる。
運転ができない暮山の移動手段はタクシーもしくは公共交通機関のいずれか。
荒い運転を得意技とするタクシー運転手さんとのコミュニケーションやお財布の小銭の有無を心配することに多大なる心労を覚える暮山は、タクシーより公共交通機関での移動を好む。
公共交通機関は快適で料金がお得なだけでなく、世界中からやってきた様々な乗客たちと出会える魅力的な場所なのだ。
(前回の記事はこちら→ 美と暮山 サイドストーリー① )
(「美と暮山編」本編はこちらから→ 美と暮山① )
女性専用空間と暮山
ここ中東某国はイスラム教の国です。
イスラム教の教えでは女性が家族以外の男性と触れ合うことは避けるべき行為とされているそうです。
そのため、公共交通機関でも女性専用の空間がかならず設けられています。
女性専用空間は男子禁制なのですが、女性はそれ以外の場所も出入り自由です。
また、イスラム教信者以外であっても女性であれば女性専用空間を利用することができます。
(日本の女性専用車両と近いイメージです。)
女性専用の方が何かと安心で居心地も良いので、暮山もこちらを利用しています。
そして、ここで暮山は思う存分世界各国の女性たちを眺めることができるのです。
(注:のぞき見をするキケン人物としてマークされそうな一文ですが、どうかご安心ください。
暮山は人畜無害な、しがないインドア専業主婦でございます。)
中東某国での女性たちの日常風景は、日本でのそれよりもっとカラフルです。
アバヤと呼ばれる全身を覆うアラブの黒い民族衣装をまとった女性たち。
髪はすっぽりとスカーフで覆いつつ、デニムにスニーカーというカジュアルないでたちのイスラム教徒の女性たち。
普段着として色鮮やかなインドの民族衣装を着る女性たち。
欧米人や暮山のようなアジア人の女性たちも珍しくはありません。
それぞれ全く違ういでたち・容貌というバラエティに富んだたくさんの個性を乗せて、何でもない顔をして今日も公共交通機関は決まったルートを走ります。
乗り物それ自体は同じようなものであっても、そこにある日常の景色が日本とは全く違っていて、そこが暮山には最高におもしろく感じられるのです。
(…というわけで、キケンな人としてマークするのはご勘弁ください。)
暮山、衝撃の事実を目の当たりにする
ある日、いつものように女性専用空間でぼーっと座っていると、一人のアラブ人らしき女性が暮山の正面に座りました。
その女性は例の全身を覆う黒い衣装・アバヤをまとい、髪は綺麗にすべてヘジャーブ(=髪を覆うスカーフ)の中に収めて見えないようにしていました。
余談ですが、暮山は常々スカーフ等で髪を完全に隠し、顔を髪で隠さない状態にしている女性たちを見ると
同じことを暮山がやったら恐ろしいことになる…!
と思っております。
暮山は鼻が低く凹凸の少ないアジア人らしい顔をしている上におでこが狭いためか、髪で顔を縁取らないと顔の存在感が薄くなりすぎて奇妙な状態になるのです。
アラブ人女性たちが何気なく身につけているアバヤやスカーフも、暮山が再現したとたんにオモシロになってしまうことまちがい無しです。
さて、話を戻します。
暮山の正面に座った女性は、鼻が高く整った顔立ちの美人さんでした。
(注:鼻が低いというのは暮山が数多く持つコンプレックスのひとつです。
美しい人を見るとつい鼻に目がいってしまうのはこのコンプレックスのためです。)
その美人さんがふと横を向いたとき、暮山は驚愕しました。
美の基準と言われるEラインの様子が暮山と全くちがう…!?
(次の記事はこちら→ 美と暮山 サイドストーリー③ )
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