前回のあらすじ
暮山が中東某国に来て数ヶ月経ったころの話。
日本人コミュニティのおかげでホームシックになることもなく、元気に快適に過ごす暮山。
しかし「このまま日本人コミュニティの中だけにいては、中東某国の公用語であるはずのアラビア語も英語もできるようにはならない」という事実に気づく。
せっかくの海外生活、英語を学ぶのに良い環境が整っているのを利用しない手はない!
とばかりに英語教室の門をたたく暮山。
筋金入りのインドア主婦・暮山は大好きな自宅どころか快適かつ安全な日本人コミュニティまでも飛び出し、広い世界へと飛び出したのであった。
(前回の記事はこちら→ 英語と暮山① )
英会話と暮山
暮山、たいていの日本人がそうであるように、英語は読み書き・リスニングと比較してスピーキングが圧倒的に苦手です。
日本に生まれ、教育はすべて日本で・日本語で受けてきた暮山にとって、英会話は非日常なのです。
これはもう暮山の努力の問題ではなく、「必要のない能力は伸びない」ということの当然の結果だと思うのです。
(ちなみに 日本の英語教育システムのせいだ!文部科学省が悪い!! なんて言うつもりも全くありません。)
暮山、広い世界の洗礼を受ける
そんな暮山にとって、中東某国の英語教室(多国籍・日本人は暮山ひとり)はまるで未知との遭遇でした。
まず、当たり前ですが授業は文法の説明から雑談に至るまですべてが英語です。
英語で英語の説明をしたり、受けたりするというのは、海外で英語教育を受けたことのない暮山の目にはそれだけで新鮮に映りました。
日本語であれば中学生のころから知っているような英語の文法関連の単語(名詞とか形容詞とか)も、英語で説明するとなると頭に何も浮かびません。
そして同じ中級クラスにいるはずなのに、全く臆せず英語で発言しまくる他の生徒さんたち。
暮山、中級レベルのクラスに入ったはずなのですが、教室を間違えて上級クラスに来てしまったのでしょうか…。
しかし、不思議なことに何度確認しても暮山の受講クラスはこの教室なのでした。
暮山、フリーズする
外国の人から日本人はこう見える、という話でよく聞くものの中に
日本人はいつもニコニコしているけれど、自分の意見を言わないから何を考えているのか分からない。
というのがあるそうです。
今この英語教室で、まさにその状態になっている日本人…それが暮山です。
暮山は若干世間からずれているところはありますが、一方で典型的な日本人でもあるため、自分のせいで場の空気を乱したり、相手に悪印象を与えたりしたくない…という気持ちが比較的強い人間です。
そのため、特に初対面の人と接する時は用もないのにヘラヘラと笑いがちです。
今もヘラヘラ笑いを顔に貼り付けながらも、実は先生や他の生徒さんたちの発言内容を理解し、なんとか授業について行こうと脳は未だかつてない勢いでフル回転しております。
さらに暮山、小学校1年生のころから学校の先生に
発言するときは手をあげましょう。
他のお友達がお話ししているときはきちんと聞きましょう。
と教わって育ち、今日までそのルールを厳守して生きて来たのですが、この教室ではしばしばこの大原則が崩壊します。
今まで疑うことなく正しいと信じこみ従ってきた、大きな存在の崩壊を目の当たりにした暮山。
その心中はソビエト連邦崩壊直後、混乱を極めた民衆のそれと遠からぬものと思われます。
ただでさえヘラヘラ笑いを浮かべつつ脳を高速回転させていることで限界を迎えつつある暮山に、この上負担をかけないでいただきたい。
みんな、発言するときはちゃんと手をあげましょう。
それから、ほかの人が話しているときは言いたいことがあってもまずは最後まできちんと聞きましょう!
すっくと立ち上がり、毅然としてこんな風に言うことができたならどれほどスッキリするでしょう。
しかし現実の暮山は
発言するときは、は…
When you want to say something…
で良いのかな……?
最後まできちんと聞く、の ”きちんと” って、なんて言うんだろう??
などと、妄想のせいで脳にさらなる負担をかけるはめになりつつ、やはり黙ってヘラヘラと笑いながら座っていることしかできませんでした。
(次回に続きます。)
(次の記事はこちら→ 英語と暮山③ )
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