-前回までのあらすじ-
これは少し前に暮山夫妻が中東某国内で引越しをしたときの話。
日本に帰国していた暮山に代わり、引越し関連手続きの一切は暮山の夫が対応。
そのため暮山が実際に新居を訪れたのは引越し前日であった。
新居のなかなかの豪邸っぷりに心踊る暮山であったが、その庭では荒れ果てた砂地に多量のゴミが散乱するという、にわかには信じがたい光景が広がっていた。
あまりの光景に脳の処理スピードが急激に落ちる暮山。
対照的に冷静かつ前向きに対処を進める夫を見て、暮山もこの過酷な現実に立ち向かう覚悟を決める。
とりあえずゴミだけは管理事務所がその日のうちに片付けてくれることを確認し、むかえた引越し当日。
引越し屋さんより一足先に新居を訪れた暮山夫妻は、前日と寸分たがわぬ荒れ果てた庭の姿を目にすることになる。
そう、ここ中東某国では一度お願いしたからといってすぐに対処などしてもらえないのは日常茶飯事なのであった。
またしてもショックを受け脳の処理スピードを落とす暮山。
一方、またしても冷静に、改めて管理事務所に片付けの依頼をする夫。
しかし、これは庭をめぐる苦悩のほんの序章にすぎないのであった。
(前回の記事はこちら→ 庭と暮山③:何も期待するな⁉︎海外生活で必要なのは柔軟性 )
(『庭と暮山編』初回記事はこちら→ 庭と暮山①:自慢の豪邸?しかも理想の庭付き⁉︎ )
新居への引越しから2週間も経つと、暮山夫妻の新生活も落ち着いてきました。
取り急ぎ必要な荷物は箱から出して使える状態に整え、どこからか室内に侵入する小型の虫たちとの戦いにも慣れてきた暮山。
(小型の虫たちとの戦いの様子はこちら→ 暮山の敵たち①:室内のコバエ駆除には手作りコバエホイホイ⁉︎ )
引越しの日以来見えないことにしていた荒れ放題の庭(ゴミだけは除去済み)も、そろそろなんとかしなければなりません。
過去数年のここでの暮らしでは全く接したことのない造園業者。
暮山の友人・知人は高層マンションの上層階に住んでいる人ばかりで、尋ねるあても思い浮かびません。
このマンションの同じ階に以前から住む他の住人たちも庭を持っており、偵察したところどの庭も美しく手入れされている様子なので、きっとみんな最初は造園業者にお願いをしたのでしょう。
ぜひ話を聞きたいところですが、残念ながら暮山夫妻を元から知る方はいらっしゃいません。
見知らぬ隣人のインターフォンを突然鳴らして
『こんにちは!素敵なお庭ですね!!』
とか言ってみようかしら…?
そんなことを考えていたら、昔、実家のインターフォンを突然鳴らした見知らぬ男性のことを思い出しました。
ー 暮山の回想 ー
(会話内容を忠実に再現いたします)
それは今から15年ほど前。
よく晴れたうららかな日のことでした。
当時学生で、ありあまる自由時間のあった暮山は、存分に朝寝を楽しんだ後の遅めの朝食を取ろうとしていたところでした。
ご飯とお味噌汁をよそって、納豆をまぜ終わり
さあご飯にかけて食べるぞ!
というタイミングでインターフォンが鳴りました。
ピンポーン♪
(以下、インターフォンを通しての会話)

・・・はい。
(こんな朝っぱらから、いきなり人の家にやってくるとは許せん…‼︎)
※この時すでに朝10時。全く『朝っぱら』ではありません。

おはようございます!
私、〇〇(某新興宗教)の者でございます!
今ちょっとお時間よろしいでしょうか!?

(なるほど、入信のお誘いか。
どうりで爽やかヴォイスを張り上げるわけだ。)
・・・はぁ、それはどうも。
すみません、忙しいもので勧誘のお話でしたら遠慮いたします。
(こうしている間にも私のほかほかご飯が冷める…!)

そうなんですね!!
それにしても素敵なお庭ですね!
こんなに素敵なお庭をきれいによくお手入れなさっている方と、私、ぜひともお話させていただきたいと思いましたもので
※当時単身赴任中だった父に代わり、庭の芝は暮山がやっつけ仕事で適当に刈っていました。
誰の目にも『素敵なよく手入れされた庭』には見えなかったことだろうと自負しております。

(時間ないって言ったの、聞こえなかったかな?)
それはどうもありがとうございます。
すみません、今から納豆ご飯を食べるところですので、これにて失礼いたします。
ガチャン…
ー 暮山の回想・完 ー
……イカンイカン。
いくら壊滅的な庭をなんとかしたい思いに追い詰められているとは言え、見ず知らずの隣人宅のインターフォンを急に鳴らしてお庭の話を切り出したりしては、あの日の見知らぬ男性と同じことをしてしまいます。
ついでに今思うと、自分が言ったこととはいえ『納豆ご飯食べたいから』との断り文句はあまりにもひどいですね。
こうなったら造園業者は自力で探さなければ…。
手始めに暮山は、Google先生に中東某国にある造園業者についてお聞きします。
Google先生はさっそく3つほどの候補をあげてくださったので、そのうち最も評価の高い造園業者に問い合わせメールを送ってみました。
さらにその後、複数の業者に同時にコンタクトが取れるサイトを発見したので、そちらにも同内容のメッセージを送ります。
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その時のメールとメッセージへの返信は、今に至るまで暮山の元に届いておりません。

…ソウダ…ソウダヨ。
コンナノ中東某国デハ常識ナンダ。
問合セ窓口ガアルカラッテ、
『問合セニ答エマス』
ナンテ誰モ言ッテナイモンネ…
学習能力が欠如しているために、またしてもショックを受ける暮山。
その脳の処理スピード低下は、もはやとどまるところを知りません。
インターネット経由で業者を捕まえるのはどうやら少し難しいようです。
切り替えの早い(というか、上手くいかないとすぐに投げ出す)暮山は、別の方法を模索することにしました。
(次の記事はこちら→ 庭と暮山⑤:ネットよりツテ⁉︎海外での業者の探し方とは )
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