-前回までのあらすじ-
これは少し前に暮山夫妻が中東某国内で引越しをしたときの話。
訳あって日本に帰国していた暮山に代わり、引越し関連手続きは全て夫が担当。
そのため、暮山が直接新居を目にすることができたのは引越し前日のことであった。
一見豪邸風の新居に心踊る暮山がふと窓の外を見ると、そこには事前に写真で見たとおりの荒れ果てた砂地が。
しかも入居前清掃の業者が捨てていったビニールゴミのようなものがあちこちに散乱するという悪夢のような光景。
引越し前までに管理事務所に片付けてもらうよう依頼するも、引越し当日もゴミは放置されたまま。
そう、日本の非常識が常識であるここ中東某国では、一度お願いしたからといってすぐに対処などしてもらえないのが普通なのであった。
庭のゴミはすぐ破棄してもらうことができ、2週間も経つと新居での生活も落ち着いてきたように感じる暮山夫妻。
そろそろこの荒れ果てた庭をなんとかしなければ…
と思うものの、友人知人に庭付きの家に住んでいる者はない。
隣人にも元からの知り合いはいないため、尋ねるあてはない。
自力で造園業者を見つけるべく、インターネットで検索をかけ複数の業者にコンタクトを取るも、その返事は今に至るまで(2021年6月25日現在。庭は手入れ済み。)受信していない。
インターネットを通じての業者探しが難しいと悟った暮山は、次なる道を模索し始めるのであった。
(前回の記事はこちら→ 庭と暮山④:難航する海外での業者探し、ついに隣人に被害が⁉︎ )
(『庭と暮山編』初回記事はこちら→ 庭と暮山①:自慢の豪邸?しかも理想の庭付き⁉︎ )
世界中どこにでもGoogle先生の影響が及ぶ新時代、21世紀。
そんなIT時代にあってもなお、インターネットで造園業者とコンタクトを取ることができない国…それがここ中東某国です。
3日待っても、1週間待っても業者からのお返事が来なかったことで、暮山の脳の処理スピード低下はますます進行します。

ココハ中東某国…。
Google先生ヲモッテシテモ連絡ガ取レナクテモ何モ不思議ハナイ…。
ソウダ、連絡スレバ必ズオ返事モラエルナンテ、期待シチャイケナインダ…。
インターネットで無理ならば、アナログな手立てを利用するしかありません。
すっかり忘れていましたが、なにも突然見知らぬ隣人を尋ねずとも、造園業者について知っていそうな人は他にもいるのです。
このマンションには受付兼警備員さんのような方が常駐していて、引越し前日に部屋に入る時もマンションについて色々と教えてもらったではありませんか。
さらに、暮山の嫌いな死ぬほど愛想が悪くて不親切で仕事の遅い管理事務所も問い合わせ窓口を設けていて、もしかしたら他の住人の方たちがよく利用する造園業者くらい知っているかもしれません。
実は管理事務所とは引越し〜生活が落ち着くまでの2週間の間に早くもひと悶着あり、暮山は例によって電話口で怒り狂ってしまったため非常に気まずいのですが、背に腹は代えられません。
管理事務所とのひと悶着についても、今後どこかのタイミングで記事にできたらと思っておりますので、どうぞお楽しみに…。
(過去に暮山が怒り狂った話はこちら→ 謝罪と暮山②:VSオーダーミスを謝らない店員@海外の飲食店 )
…話を戻しますが、そういうわけで、暮山はまずは受付に行き、警備員さんとお話してみます。
警備員さんはご親切にも
『マンションの共有部分を請け負っている出入りの造園業者がいるので、明日か明後日あたりその人に庭の手入れをお願いできないか、確認してあげる』
と、おっしゃいました。
業者の方と話せたら直接暮山に連絡してもらうようにしてくれるとのことだったので、自分の携帯電話の番号を教え、警備員さんにお礼を告げて家に帰りました。
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警備員さんがお話ししてくださったはずの造園業者からの連絡は、今に至るまでいただいておりません。

ナルホド……。
Google先生ニお願イしてモ難シイことは、警備員さんにダッテ難しいにちがいナイワ。
ソウダそうだ、だってココは中東某国だもの。
学習能力の低い暮山ですが、ここまで来ればもはや想定の範囲内です。
低下を続けていた脳の処理スピードも、少しずつ回復してきました。
もう一度警備員さんにお話をしてみれば良いのかもしれませんが、何度訪ねても同じことになる予感しかせず、暮山は受付に出向くモチベーションをすっかり失ってしまいました。
(受付、と書いていますが、暮山の住むマンションとは別の棟にあり、普段は寄りつかない場所のためわざわざ行くのもまたひと仕事なのです。)
数人いらっしゃる警備員さんたちはシフト制でお仕事されているため、暮山がお話をした警備員さんがちょうど良いタイミングでいらっしゃる保証もありません。
さらに、みなさんインド系の方なので、大変失礼ながら暮山には一体どなたが誰なのか皆目見分けがつかないのも、また事態をややこしくしてしまいそうです。
こうなったら仕方がありません。
全く気乗りしませんが、暮山の嫌いな死ぬほど愛想が悪くて不親切で仕事の遅い管理事務所に、ひと悶着あったことなどすっかり忘れた風を装って電話をかけることにします。
プルルルー、プルルルー
ガチャ。

はい、◯◯マンション管理事務所です。
いかがされましたか?

(よかった…前回とは別の人だわ。)
こんにちは。
◯棟のXXX号室の暮山です。
実はちょっとお尋ねしたいことがありまして…。

はい、なんでしょうか?

私たち、少し前にこちらに引っ越してきたのですが、この国で庭のある家に住むのが初めてなもので…。
もしご存知でしたらで結構なのですが、他の入居者の方たちがよくお願いされる造園業者を紹介いただくことはできますか?

造園業者ですか…。
かしこまりました、確認しますので、本日夕方ごろ折り返しいたします。
◯棟XXX号室の暮山様でお間違いないですね?

はい、そうです。
どうもありがとうございます。
それではお電話お待ちしています。
ガチャン…。
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管理事務所から来るはずの電話は、今に至るまで(以下省略)。
前回ひと悶着あった段階で管理事務所の仕事ぶりがものすごくイマイチであることは十二分に理解していたため、今さらショックを受けることはありませんでした。
人間、あらかじめ予想できることに対しては心に波風を立てることもなく、仏様のように穏やかな気持ちで接することができるものですね。
おかげで暮山の脳の処理スピードは正常レベルまで回復しました。
しかし、暮山の脳は正常に戻っても、暮山家の庭は荒れ果てたまま。
すでに引越しから4週間が経っていました。
あきらめ始めた暮山が、中東某国での残りの人生を荒れ果てた庭の主として生きる覚悟を決めた頃、いよいよあの男が動き出したのです。
(次の記事はこちら→ 庭と暮山⑥:決め手は虫コナーズ⁉︎ついに造園業者決定! )
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