前回までのあらすじ
家事代行サービスの利用が一般的な中東某国では、住み込みのメイドさんを雇う家庭も少なくない。
そんな中東某国で身の丈に合わぬ豪邸(借家)に住まう暮山夫妻。
どうやらこの家の家事全般をほぼすべて担う暮山は、ライフスタイルから考えるにマダムというよりはメイドさんに近いようだ。
メイド部屋の環境が過酷に感じられ嘆くメイド暮山。
しかし日本と比べると過酷とも言える環境で数年間・ほぼ毎日お料理をし続けてきたことから妙な自信を取り戻し、
自分は本物のメイドさんとしても通用するのではないか…?
などと考え始めるのであった。
(前回の記事はこちら→ メイドと暮山② )
(「メイドと暮山編」初回記事はこちら→ メイドと暮山① )
メイド暮山のキャリア計画
晩ごはんを食べながら、暮山はさっそくメイド暮山としてのキャリア計画(妄想)を夫に話しました。
暮山:メイド部屋の環境が過酷だから、メイド暮山は三日くらいしか務まらない気がするなぁ。
でもお料理がそこそこ上手なもんだから、雇い主から
『お願いだからもう少しいて…‼︎』
なんて言って引き止められたら困っちゃうなぁ…。
そうしたらメイド部屋の窓の設置と賃上げを要求してみようかな♪
夫:…でもさぁ、メイドを雇うのってアラブ人とか欧米人が多いでしょ。
あの人たちって、たいてい肉が大好きじゃん。
凛の作る野菜中心の料理じゃ、好みと合わなくてすぐ追い出されるかもよ。
暮山:ぐぬぅ…!!(…たしかに!)
暮山の突然の妄想話にも平然とついて来てくれる夫。
1日の仕事で疲れ切った頭で、一瞬にしてメイド暮山の概要を理解した模様です。
さらに妄想の世界観を壊さぬまま的確なツッコミを入れてくるとはさすが我が夫…
いつものことながら頭が下がります。
ちなみにこの日の食卓でお肉といえば、炊き込みご飯の具のバラ肉のみ。
野菜とお肉の比率は 9 : 1 くらいかと思われます。
暮山のメイドさんとしてのキャリア(妄想)は夢と消えました。
『家政婦は見た』みたいに、お金持ちたちの内情を探ってみようと思ってたのに…
そもそも三日しか務まらないのであれば、内情を探るところまでは行き着かないでしょう。
妄想のキャリアが中断され、現実世界に戻る暮山。
すると夫が、最近親しくなった現地の方(仮にEさんとします)から聞いた話をしてくれました。
暮山と中東某国のメイド事情
Eさんは暮山夫と同い年ですが、現地の方の例にもれず
- 規格外のお金持ち
- 豪邸住まい
- 子だくさん
の、イスラム教徒だそうです。
暮山夫妻のエセ金持ち風豪邸とは違う、Eさんの本物の豪邸には住み込みのメイドさんが2人いらっしゃるのだとか。
メイドさんたちは外国から働きに来ていて、稼いだお金をせっせと国の家族に仕送りしています。
休暇中に久しぶりに国に帰り、仕送りしていたお金をめぐる家族とのトラブルが発覚した時は、メイドさんが雇用主であるEさんに泣きながら相談の電話をかけてきたこともあったのだとか。
暮山にはいまいちピンと来ない話なのですが、Eさんとメイドさんたちとの関係性は想像以上に良好かつ人情味あふれるもののようです。
しかしEさんとメイドさんたちの関係と、メイドさん同士の関係はまた別物。
Eさんいわく、お二人の関係はさほど良くないようで、たまにいさかいが起こったりもするのだとか。
そして、現在長期休暇中でお一人が国に帰っているそうなのですが、Eさん宅で就業を続けているメイドさんがあまりしっかりとお仕事してくれず困っているとのことで、Eさんがたまにボヤいているのを夫は耳にしているのだそうです。
メイドさんのいらっしゃる生活を経験したことがない暮山は
住み込みのメイドさんがいてくれたら、24時間家事全般おまかせできるのかしら…
お手洗いやお風呂の掃除もしなくて良いなんて羨ましいなぁ…!
くらいにしか考えていませんでした。
しかしメイドさんはルンバちゃんとは違い、血の通った人間です。
暮山と同じように感情も価値観もそれぞれ持っていますから、何もかもが雇用主の思い通りにできるわけではないということなのでしょう。
もちろんお金を払ってお仕事をお願いしている以上、そのサービスが受けられるメリットは大きいのだろうとは思います。
しかしそれは「何でも黙って放っておけばやってもらえる」というような楽チンなだけのものではなく、雇い主は雇い主で色々と考えたり気を遣ったりしながら、いわば能動的にメイドさんとの関係性を築くことで得られるものなのでしょう。
暮山は今のところメイドさんをお願いする予定はありませんが、長い人生、これから何が起こるかは誰にもわかりません。
急にメイドさんが必要になることもあるかもしれませんし、もしかしたら本当にメイド暮山としてのキャリアをスタートさせる日が来るかもしれません。
もしその時が来たら、雇う側・雇われる側どちらの立場であったとしても
お互いに血の通った人間同士なのだ
ということは忘れずにいたいものだと思います。
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