前回のあらすじ
完全なる犬派で猫ぎらいの暮山。
幼少期の暮山は大の動物好きで、あらゆる小さきものたちに平等に愛を注ぎつつ、ムツゴロウさんへの弟子入りを夢見ていた。
ところが、小学校三年生の時から飼いはじめた愛犬の可愛さに骨抜きになり、その他の動物への興味が急激に薄れてしまう。
さらに、愛犬が散歩等で猫に遭遇するたび威嚇するのを見るうち、猫をきらうようになる。
月日は流れ愛犬は死んでしまい、その後もさまざまな生活の変化を経験する暮山。
それでも圧倒的犬派・猫ぎらいというスタイルを強固に貫いていたのだが…?
(前回の記事はこちら→ 猫と暮山①:動物大好き少女が猫ぎらいの愛犬家になったわけ )
暮山と悩むアンジェラ
ある日カフェでお茶をしていると、一緒にいたアンジェラ(※)がその美しい顔を若干ゆがめながら言いました。
(※:アンジェラ初回登場記事はこちら→ 美と暮山②:ネイティブの英語を話す欧米人の美女、参上 )
再来週から二週間夫と旅行なんだけど、猫の世話をどうしようか悩んでるんだよね…。
そうなのです、アンジェラは猫を飼っているのでした。
ここ中東某国にはなぜか野良猫が数多くいます。
猫に好意的なイスラム教徒の国だからなのでしょうか。
もしかしたら、可愛いからと飼いはじめたものの、自分の国に連れ帰るのが難しく猫を手放すことにした身勝手な人間たちに捨てられてしまい、元飼い猫たちが野良猫になるというかわいそうなケースも多いのかもしれません。
アンジェラ夫妻は、中東某国に来てからそんな野良猫のうちの一匹と偶然出会い、飼いはじめたようでした。
道端で死にかけていたその仔猫を連れ帰り、面倒を見ることにしたのだとか。
暮山はその話を聞き、いたく感心しました。
美しいアンジェラは、外見だけでなく心まで美しいようです。
話を元に戻しましょう。
アンジェラの話は続きます。
猫は十分な量の水とご飯を置いてあげれば多少放っておいても平気らしいけど、二週間となるとさすがに無理だからね…。
定期的に1時間くらい来てお世話してくれるメイドさんみたいな人を臨時で雇おうかとも思ったんだけど、他の子に話したら
『留守中に家に入れるのなら信頼できる人を選ばないと、後々トラブルになるからちょっと慎重になった方が良いよ』
って言われたんだよね。
臨時雇いでそこまで人となりを確認するのはちょっと難しいから困っちゃって。
しつこいようですが、暮山は圧倒的犬派・猫ぎらいです。
(おまけに大人になってからは若干猫アレルギー気味でもあります。)
しかしアンジェラはいつも親切にしてくれる大好きな友人。
その友人が今、美しい顔で困っている。
(あ、顔は今関係ないのでしたね。)
その上、アンジェラは当時暮山と同じマンションに住んでいたので、家に毎日行ったとしても時間も労力も大してかかりません。
それなら私がやろうか?
アンジェラは美しい顔を輝かせて喜んでくれました。
喜んでもらえてよかった…。
どうやら愛猫を預けるに価する人間として信頼してもらえているようだわ…。
内心ホッと胸をなでおろす暮山。
次はアンジェラの旅行前に家におじゃまして、愛猫と暮山の初対面を果たしつつ具体的なお世話の内容を教えてもらう約束をし、その日は別れました。
考えてみれば、15年連れ添った愛犬との別れ以来今まで、暮山は身近に人間以外の動物がいない生活を送ってきました。
…いえ、実際は愛犬の死後も、日常的にアリを撃退したり蚊に刺されたりはしていたわけですから、正確に言うと身近に人間以外の脊椎動物がいない生活ということになりますね。
そんな暮山にとってアンジェラの愛猫は、あの愛犬以来の身近かつ人間ではない脊椎動物…。
その事実に気づいた時、動物大好き少女だったころの暮山が、心の中にひょっこり舞い戻ってきたような気がしました。
猫に会えるのがどんどん楽しみになってきた暮山。
帰宅するとさっそくGoogle先生に猫についての情報をいただくべく、パソコンを起動して検索画面を開きます。
いの一番に入力した検索ワードはふたつ。
猫
そして
嫌われないために
でした。
(次の記事はこちら→ 猫と暮山③:動物好きなのに嫌われる人の特徴はただひとつ )
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