前回のあらすじ
学生時代から運動習慣のなかった暮山。
OL→専業主婦と、ライフステージを進めるごとにその状況は悪化の一途をたどる。
筋金入りのインドア人間の本領を発揮し、好きなだけ家に閉じこもれる生活に至上の幸福感を覚える。
しかしある日、30代以降の筋力のおとろえについての記事を読み、急に不安に震える小心者の暮山。
開脚は90度までしかできないという驚異の柔軟性をひっさげて、健やかな老後を迎えたい一心でコツコツとヨガ教室に通い始めるのであった。
(前回の記事はこちら→ 運動習慣と暮山① )
暮山の運命
ヨガ教室は始めてみると楽しいものでした。
暮山の大好きな優しく美しい先生は毎回レッスン内容に工夫を凝らしてくださり、飽きずにレッスンを続けることができましたし、ほかの生徒さんたちとも少しずつ仲良くなることができました。
レッスンが終わった後にスッキリする感覚も得られるようになってきましたし、終盤の謎のリラックスタイムにも慣れてきました。
ただ、週1回のレッスンにどんなにまじめに取り組んでいても、開脚90度に代表される暮山の驚異の柔軟性に改善の兆しは見られませんでした。
暮山はきっと体の硬い人間として生まれ、体の硬い人間として年を重ね、そしてこのまま体の硬い人間として死ぬ定めなのでしょう。
己の不運や不条理を嘆くのではなく、運命を受け入れ生きていく…
そんなしなやかで美しい人に暮山はなりたい…。
(注:暮山は妄想癖があります。
暮山をもってすれば、針の先程度のサイズ感の事実を野球バットサイズにも電信柱サイズにも、果ては東京スカイツリーのサイズにさえできるのです。)
(暮山の妄想癖についてはこちらの記事もご参照ください→ 暮山の敵たち④)
運命を受け入れ、強くしなやかに生きる決意をしてからしばらく経ったころでした。
その日もヨガのレッスンを終え、みんなそれぞれ帰り支度をしたりおしゃべりをしたりしています。
暮山も背後にいる先生と一人の生徒さんの会話をBGMに帰り支度をしていました。
生徒さん:最近予定が入っちゃってレッスンなかなか来られなくて…。今日は久しぶりのヨガだったからいつもよりもっと気持ちよかった!
先生:えーレッスンじゃなくてヨガが久しぶり?家でやらなかったの〜?
生徒さん:あはは。やってないやww
先生:本当は毎日やるともっと良いんだよ〜。
暮山:!!!(心の中で)
先生の言葉を聞いた暮山は衝撃を受けました。
なぜかいままで、レッスン以外に自分でもヨガをやるという発想がまるでなかったからです。
暮山は今のところ子供がいませんし、その上専業主婦なので自由な時間は山ほどあります。
もしかしたら、レッスン以外にも毎日ヨガをやることで体が柔らかくなるかもしれません。
もしかしたら、体が硬い人間としてこのまま年を重ね、死を迎えるという運命を自分の力で変えることができるかもしれません。
明日から毎朝、夫を見送った後はヨガをやってから朝ごはんを食べることにしよう!
ヨガ教室からの帰り道、暮山は自らの運命を変える期待に胸を震わせました。
(次回に続きます。)
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